EOS Rを試した

 どうもNimbusです。

 程度の良さそうなキヤノンのデジタル一眼ミラーレスカメラEOS Rをネット通販で購入してみました。

 EOS Rは2018年10月に発売されたミラーレス専用のRFマウントを搭載した最初の製品で、2023年の5月頃まで生産されていました。
 この記事を執筆している2023年10月現在ではまだ新品が流通しています。

 届いたEOS Rは、付属品が欠品していたり、液晶モニターが激しく変色していたりと、購入時の説明とはかなり違ったので、「EOS 6D 11年前のフルサイズデジカメを試した」で紹介したEOS 6D同様に開封してすぐに返品する事にしました。

 液晶以外の程度は良かったので残念です。

 返品するまでの間に撮影テストを行いました。

 レンズはキヤノン純正のリングコントロールマウントアダプター CR-EF-EOSRを介してEF 100mm F2.8 マクロ USMEF 50mm F2.5 コンパクトマクロを使いました。

EOS Rの操作性

 EOS Kiss X10iの操作性はEOS Rを踏襲していた様で、EOS Rは違和感なく使えました。

 EOS Rは2023年10月時点では5年前の製品で、2023年10月現在では製造、販売が終了した製品ですが、製造販売が継続しているEOS 5D Mark Ⅳを試した時に感じた古さから来る不満は有りませんでした。

 電源ボタンはEOS 6Dや「EOS 5D MarkⅣ 現行のフルサイズデジカメを試した」で紹介したEOS 5D Mark Ⅳ同様左肩です。
 EOS 6DやEOS 5D Mark Ⅳを試した経験から、違和感は有りませんでした。

        

 EOS Rの電源ボタンが左肩に有るために右手で操作出来ない事を欠点として上げている記事や動画を幾つか読んだり見たりしたのですが、EOS Rよりも後に出たEOS R6やEOS R5も同様の位置に電源スイッチが有りますし、「EOS 1DX を買った」で紹介したEOS 1DXシリーズは配置が異なる物の片手では操作出来る様な作りではないので、EOS Rが発売された2018年当時としては片手で電源が入れられない事は欠点と見做されていなかった様に思います。

 仮にEOS Rの電源スイッチがEOS R6 MarkⅡやEOS R8と同様だったとしても、

「EOS Kissシリーズと同じ様な電源スイッチの配置は安っぽく感じる」

と言われていたかもしれないですね。

 サブダイヤルのMODEボタンを押す事でモードダイヤルとして機能します。

 ダイヤルの位置は異なりますが1DXもコントロールダイヤルで変更する方式です。
 誤操作で知らない間に撮影モードが変わってしまう事がりません。

 EOS Kiss X10iのではEOS Utilityのリモート操作パネルの撮影モードはグレーアウトして操作して変更できませんが、EOS Rでは変更可能となっていました。

EOR Rのサブモニター

 EOR Rのサブモニターは電源スイッチを切った状態でも、モードと電池残量を表示します。

 電子ペーパー的な物かと思ったのですが、電池を抜くと表示は消えるので、液晶表示に僅からながらでも電池を消費し続けているのだと思います。

 EOS Rのデジタル端子はUSB TYPE-Cとなりました。TYPE-Cコネクターは裏表がないのでEOS Kiss X10iのMico BやEOS Kiss X9i以前の機種のMini Bコネクターの様に、L型コネクターの購入する前に入念に方向を確認する必要が無いので便利です。

 Mini HDMIコネクターの方向は EOS Kiss X10iやEOS Kiss X9iと同じなので、L型コネクターがそのまま使えます。

 電源を切った状態だと、USB PDに対応したモバイルバッテリーから内蔵した充電池に充電する事も可能です。

 ルートアール RT-TC5VABKでUSB PD対応モバイルバッテリーからEOS Rに供給されている電圧、電流を確認している様子です。

 USB TYPE-CコネクターでUSB 3.1 Gen 1に対応すると言っても、充電電圧は5V弱、電流は0.55A強とUSB2.0と変わりませんでした。
 EOS Rに内蔵する充電池LP-E6Nの容量は1865mAhなので満充電までの充電時間は3時間半弱と言った所でしょうか。

 EOS Rよりも1年以上後になってから発売されたEOS Kiss X10iのデジタル端子がマイクロUSBで、充電も出来ない不便な仕様だったのは謎ですね。

EOS Rのリモート撮影機能

 EOS Rのデジタルコネクターは、USB 3.1 Gen1 Suerp Speedに対応していて、規格上の上限のデータ通信速度はEOS Kiss X10iのデジタルコネクターのUSB 2.0 High Speedの10倍以上です。

 USBの通信速度を確認するフリーソフトでパソコンとEOS RがSuper Speedで通信で来ているのを確認した上で、リモートライブビューを使ってみましたが、撮影データの転送速度がやや早くなる気がする程度でした。
 通信速度の向上により、リモートライブビューの遅延も小さくなるかと期待しましたがUSB 2.0 HighSpeedで接続しているEOS Kiss X10iと変わりありませんでした。

 リモートライブビューはデジタル拡大鏡みたいな使い方も出来るので、遅延が小さければ活用できる範囲はより広がると思います。

 現状のEOS Utilityのリモートライブビューでは構図を決定する際の補助向けに任意の画像を任意の透過率と大きさで表示する事が出来ます。
 画像の透過表示はリモートライブビュー表示を拡大した際には反映されないのですが、拡大表示に透過画像も同じ倍率で拡大表示される様になれば、様々な用途に利用できると思います。

 EOS Rに、USB 2.0規格の5m延長ケーブを使ってパソコンに接続して、USB 2.0 High Speedの通信速度でリモートライブビューも試して見ましたが、撮影データの転送速度は少し遅くなった気はしましたが、ライブビューの遅延に付いてはUSB 3.1 Gen1 Super Speedとは体感できる様な差はありませんでした。

 規格時用の上限では10倍以上の開きがあるUSB 3.1とUSB 2.0とで、それ程違いが出ないのは、EOS Utilityの限界かも知れませんし、リモートライブビューの遅延の大きさや撮影データの転送速度はパソコンの性能によっても大きく変わるので、使っているパソコンの問題かも知れません。

 参考までにEOS RとEOS Kiss X10iのリモートライブビューをテストしたパソコンは自作機で構成は下記の通りです。

CPU Coure i 7 13700K
マザーボード ASrock Z690 Steel Legend
RAM DDR4 64GB
システムドライブ Samsung 980Pro 2TB PCIe Gen4 MVNe SSD
グラフィックボード GeFroce GTX 1080 Ti
ディスプレイ Wacm Cintiq16

 何れにしても、有線接続のリモートライブビューで長いケーブルを使いたい場合は、比較的安価なUSB 2.0ケーブルでも充分だと思いました。

 Wifi接続時のリモート制御では、EOS Rの撮影データの転送順はEOS 6DやEOS 5D Mark Ⅳと同様に、RAWデータの次にJPEGなのと、画像サイズがEOS Kiss X10iよりも大きいので若干時間が掛かる様ですが、アクセスポイントの間近だと、EOS RとEOS Kiss X10iとで大きな差は有りませんでした。

 Wifiのアクセスポイントから少し距離が有る、EOS Kiss X10iでは撮影データの転送速度が転送速度が遅くなる状況でもEOS Rだと速度を維持できる事もあり快適性は向上しています。

 機種毎に内蔵しているWifiアンテナに性能差があるのかもしれません。

EOS RとEOS Kiss Xのサイズと重量比較

 EOS Rの大きさはEOS Kiss X10iと比較して、横幅は広いものの高さや奥行きは小さくなっています。

 ミラーやペンタプリズムの為のスペースが不要なのでフルサイズでもこのサイズに収まったのでしょう。

 ボディキャップを取り付けた重量はEOS Rが670g、EOS Kiss X10iか524gでした。

 EOS Rは金属ボディなので、プラスチックボディのEOS Kiss X10iと比較すると、サイズの割には重量がありますね。

EOS RのEVF

 EOS R以前にも、EVFは2001年2月発売のキヤノン PowerShot Pro90 ISや2002年9月発売のオリンパス CAMEDIA C-730 Ultra Zoomと言った20年以上前の搭載製品で使っいました。

 20年以上前のEVFは画素数が少なく画像が荒く、遅延が大きく、撮影シミュレーションも今一でしたが、それでも背面液晶よりはずっと便利で、静物撮影には十分使えたので、現行のミラーレス機に対して不安や抵抗はありませんでした。

 2020年6月頃に中古購入したEOS Rでは、EVFを覗いて数分の間にEVFの表示が何度も一時停止して使い物にならず、すぐに返品したのですが、今回入手した物はそう言う事は有りませんでした。
 以前購入したEOS Rを試した時は、ISOがオートだったので、そのせいだったのかとも思いましたが、今回届いたEOS RではISO オートでもEVFの表示が一時停止する事は無かったので、3年前に中古購入したEOS Rは何かしらの不具合を抱えていたのかも知れないですね。

 EOS RのEVFは光学ファインダー同様とはならず、体感できる程度の遅延は有りますし、発色も薄い様な気はしますし、ホワイトバランスは青寄りと言った難点はあるものの、露出やホワイトバランスに応じて映像が変化するのと、拡大表示にも対応している事、縦位置にすると表示もそれに合わせて変化する事から、動体撮影以外では光学ファインダーよりも便利で、静物撮影が中心の私の用途では問題無く使える印象でした。

 EVFから顔を離すと背面液晶のライブビュー表示に自動的に切り替わるのも便利でした。

 EVFは目への負担が光学ファインダーよりも大きい様なので、EVF自体が人によっては受け付けないかも知れません。

EFレンズ用マウントアダプター

 マウントアダプターはコントロールリング付きの物を純正品のキヤノンCR-EF-EOSRと、社外品のVILTROX EF-R2の2種類を入手しました。

 重量はキヤノンCR-EF-EOSRが125.8g、VILTROX EF-R2が137.6でした。

 キヤノン純正品は防塵防滴のシールのせいか、EOS Rへの取付時や、レンズを取り付ける際はきつ目でした。

  VILTROX EF-R2のコントロールリングは樹脂製でキヤノンCR-EF-EOSRに比べて一回り大きく、回転時の操作は軽く感じました。
 VILTROX EF-R2は「Canon の EF-EOS R が買えないのでサードパーティー製マウントアダプター VILTROX EF-R2 を試した話」によるとマウントアダプターが品薄の際は代替品として人気があった様ですが、EOS R6に取り付けた際はファームウェアをアップデートするまで、コントロールリングが使えなかったり、シャッターが切れない事があった様です。
 2023年10月現在、VILTROXのWebサイトではEF-R2の商品情報を閲覧したりファームウェアのダウンロードも出来なくなっているので、EF-R2は販売が終了してサポートも終了した様です。
 EF-R2はYahoo!ショッピング楽天で中古品が比較的安価に入手できるのでEOS Rで使う分には有効な選択肢とは思います。


撮影比較

 今回はカメラが生成したJPEGデータをWindowsフォトで表示して比較しています。

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 左がEOS R、右がEOS Kiss X10i。

 レンズは何れもEF 50mm F2.5 コンパクトマクロ、撮影距離も同じ様な物の筈です。
センサーサイズの違いにより画角が大きく異なります。

 設定は同じでISO 1600、F7.1、1/30秒、マニュアルホワイトバランス。

 EOS RとEOS Kiss X10iはレンズと撮影距離が変わらないなら、明るさも変わらない様です。

 被写体の大きさを大きさを概ね同じ様に揃えてみました。

 EOS R、EOS Kiss X10i共に、画像処理回路は同じDIGIC8なせいか描写の傾向は大きく変わりません。

 色の再現性はEOS Rが優れていると思いますが、表示するディスプレイによっては逆転するかも知れません。

 EOS Kiss X10iで不満だったマニュアルホワイトバランスの色味のバラ付は、銀一のグレーカードを立て掛けて、被写体と同じ様なアングルで撮影する様にしたら、EOS Kiss X10iでも色味が安定する様になりました。

実際のサイズで表示した物をキャプチャー。
ノイズはEOS Rの方が明確に少なくなっています。

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 左 EOS R EF 100mm F2.8 マクロ USM、F9、1/10秒、マニュアルホワイトバランス。

 右 EOS Kiss X10i EF-S60mm F2.8 マクロ USM、F7.1、1/25、マニュアルホワイトバランス。

 EOS Kiss X10iの60mmは35mm換算では96mmなので、撮影距離が同じなら100mmのEOS Rの方が被写体は大きく写る筈なので、撮影距離はEOS Rの方がやや遠い様ですが、パースが激変する程の距離の差では無いと思います。

 ホワイトバランスの参照画像として、グレーカードを同じ様に撮影しても、EOS Kiss X10iよりはEOS Rの方が好みのホワイトバランスになりました。

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左 EOS R 、右 EOS 6D、レンズや撮影設定は同じ。

EF 100mm F2.8 マクロ USM、
ISO 100
F9
1/13
マニュアルホワイトバランス

左 EOS R 、右 EOS 5D Mark Ⅳ

EF 100mm F2.8 マクロ USM、
ISO 100
F 9
マニュアルホワイトバランス

 撮影設定はシャッタースピードのみ異なり、EOS Rが1/13秒に対して、EOS 5D MarkⅣは1/10秒と、EOS 5D Mark Ⅳの方がが一段暗いですが、理由は良く分かりません。

 暗さとホワイトバランスの差を除けばEOS Rにかなり近い描写です。
 比較写真では撮影期間が空いているのでアングルや撮影距離は一致しませんが、同じ様に撮影して、現像ソフトで調整すれば、EOS RとEOS 5D Mark Ⅳの区別は付かない様な気がします。

左 EOS R
EF 100mm F2.8 マクロ USM
ISO 100
F 9
1/13秒
マニュアルホワイトバランス

右 EOS Kiss X10i
EF-S 60mm F2.8 マクロ USM
ISO 100
F 7.1
1/25秒
マニュアルホワイトバランス

 EOS Kiss X10iは被写界深度を合わせる為に絞り値を少なくしているので、その分シャッタースピードは速いものの、EOS 5D Mark Ⅳ同様EOS Rとホワイトバランスと明るさは多少違う物の似た傾向の描写でした。

 色はホワイトバランスの参照画像で大きく変わるので、EOS Rとそれ以外とで微妙に色味が違うのはねEOS Rのミラーレスと、それ以外の一眼レフとの方式の差により、ホワイトバランス参照画像の写り具合に差が出ているのかも知れません。
 EOS Rはホワイトバランス参照画像を複数撮影して変更してみるテストは行っていないので、参照画像を何度も撮影して変えて行けば、EOS Rも一眼レフ機と同様の色味になるのかもしれません。

 EOS Rの描写は私にとっては好みでしたが、Webに掲載するサイズに縮小したり、L版の様に小さめの大きさで印刷すると、フルフレームサイズセンサー搭載機とAPS-Cセンサー搭載機とでは明確な違いは出ず、実用上はEOS Kiss X10iでも何ら問題無いと感じました。

 RFレンズはEFレンズよりも優れた撮影結果が得られる様になっているので、EOS R10やEOS R50 EOS R100と言ったAPS-Cサイズセンサーを搭載した比較的廉価なEOS R製品でも、実用上は十分な高画質が期待できる様に思いました。

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