レンズによる色の違いとマニュアルホワイトバランス

 どうもNimbusです。

 EF100mm F2.8 マクロ USMで撮影した写真が他のレンズと比較して暗いので確認のために、ねんどろいど水銀燈を被写体に、EOS Kiss X10iを三脚固定して、EF100mm F2.8 マクロ USM とEF 18-135mm F3.5-5.6 IS STMとで、できるだけ同じ画角で同じ設定で撮影してみました。

 理由は良く分かりませんが、EF100mm F2.8 マクロ USMで撮影した写真は暗くなる様です。

 何れも撮影に使ったカメラボディはEOS Kiss X10で、設定は下記の通りです。

 ISO感度 1600。
 絞り値 F 7.1。
 シャッタースピード 1/40秒。
 ホワイトバランス マニュアル。

 ホワイトバランス参照画像はEF-S 17-55mm F2.8 IS USMで撮影しています。

 左のEF 100mm F2.8 マクロ USMのシャッタースピードは1/30秒、右のEF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMのシャッタースピードは1/50秒と、明るさの近い写真だと色味がかなり異なります。

 レンズによってホワイトバランスや色合いが異なるのは、昔のカメラ雑誌の記事で解説されているのを読んだ事が有ります。
 フィルムを使った撮影ではレンズにフィルターを付けたり、現像時にフィルターを付けたりして、異なるレンズで撮影した写真の色味を揃える方法が紹介されていました。

 EF100mm F2.8 マクロ USMとEF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMとで別々にホワイトバランス用の参考画像を撮影して、レンズに合わせてホワイトバンス参考画像を変更して撮影してみました。
 各レンズのシャッタースピードは先の画像と同じでEF 100mm F2.8 マクロ USMは1/30秒、EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMは1/50秒です。

 Spyder X Proで色校正しているディスプレイ上では色味の差は小さくなりました。
 iPadPro12.9インチ第2世代では、変わってはいるもののあまり差が縮んだ様に見えないのでディスプレイによって効果が違う様です。

 右はEF 100mm F2.8 マクロ USM 1/30、左はEF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STM 1/50。
 両方ともホワイトバランス参照画像はEF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMで撮影した物です。

 マニュアルホワイトバランスは参照画像を撮影したレンズを規準に調整されるので、色味が異なって写るレンズに交換すると、ホワイトバランスや色合いが変わってしまいます。

 両方ともEF 100mm F2.8 マクロ USMで撮影した写真です。
 左の画像はEF 100mm F2.8 マクロ USMで、右の画像はEF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMで撮影したホワイトバランス参照画像でマニュアルホワイトバランスを設定しています。

 こちらはiPadPro12.9インチ第2世代でも明確に差が確認出来ました。

オートホワイトバランスの難点とマニュアルホワイトバランスの利点

 オートホワイトバランスだと、ホワイトバランスと色合いが自動的に調整されるので、マニュアルホワイトバランスの様な煩わしさはありません。

 万能に思えるオートホワイトバランスにも難点があり、それは画角に占める色の割合でホワイトバランスや色味が異なってしまう事です。

 上の画像はEF-S 17-55mm F2.8 IS USMで同じ位置からズーム端とテレ端で撮影した写真を並べた物です。
 何れもカメラボディはEOS Kiss X10i、ISO感度1600、絞り値7.1、シャッタースピード1/30秒、オートホワイトバランスで撮影しました。
 1枚目の画像は写真全体同士を並べ、2枚目の画像は右の画像を拡大して被写体の大きさを揃えて並べました。

 作例ではオートホワイトバランスによる色味の差が極端に大きくなる様に撮影しましたが、画角に占める色の割合で自動補正を行うオートホワイトバランスの性質上、フィギュアの全体像とバストアップの様な差でも、画角に占める色の割合が違うと、写真毎に微妙に色が変わってしまいます。
 任意の一枚の写真のオートホワイトバランスを、他の複数の写真に適用できる機能があれば写真毎の色味のバラ付きを無くせると思うのですが、そう言った機能は無い様です。

 上の画像はEF-S 17-55mm F2.8 IS USMで同じ位置からズーム端とテレ端で撮影した写真を並べた物です。1枚目は写真全体同士を、2枚目は被写体の大きさを揃えた物です。

 先との違いは、マニュアルホワイトバランスで撮影した事で、画角に占める色の割合が異なっていても色が変わる事はありません。

 ホワイトバランスには、色温度や晴天、曇り、日陰、ストロボみたいに、マニュアルホワイトバランス同様にホワイトバランスが固定されるモードがあるので、こちらも活用すると良いでしょう。

 上の画像はマニュアルホワイトバランスで撮影したRAWデータにDigital Photo Proressional(以下DPP)上でオートホワイトバランスを適応した際のシミュレーション画像です。

 水銀燈のねんどろいどを撮影した環境でオートホワイトバランスを使って撮影した場合、右の様に青っぽい感じになります。

 この場合も左の様にマニュアルホワイトバランスで撮影した方が上手くいく行きます。

 マニュアルホワイトバランスで撮影した場合、DPPでオートホワイトバランスを含めたすべてのホワイトバランス設定を適用できます。
 マニュアルホワイトバランス以外のホワイトバランス設定で撮影したRAWデータではDPP上でマニュアルホワイトバランスを設定する事はできません。

 DPPで編集する事が前提でRAWデータで撮影するなら、選択肢がより多いマニュアルホワイトバランスで撮影した方が良いでしょう。

 RAWデータをDPP上で色温度のK(ケルビン)値を調整してもマニュアルホワイトバランスとは色合いが異なるので、同じ様になる気配は全くありませんでした。

 DPPにはグレーカードや白い物を写り込ませ、DPP上でクリックする事でホワイトバランスを取得する、ワンクリックホワイトバランスと言う機能もありますが、色温度同様にその機能だけではマニュアルホワイトバランスと同じ様な色味にはなりませんでした。

 キヤノン EOSシーズに搭載されているマニュアルホワイトバランスでは、色温度だけでなく、色合いなど様々な要素を調整している様です。

 DPP上でホワイトバランスの色温度だけでなくBAMGの値を調整すると、左のマニュアルホワイトバランスでの写真にかなり近付ける事は出来ます。専門的な知識があれば、マニュアルホワイトバランスと完全一致させられるかもしれません。

マニュアルホワイトバランス参照画像の撮影方法

 上の写真はどちらもEOS Kiss X10iとEF 100mm F2.8 マクロUSMの組み合わせで撮影した画像です。

 マニュアルホワイトバランスを設定する為の参照画像の撮影方法は色々有りますが、マニュアルフォーカスでピントをあわせてから、画角の全てがグレーカードの状態の時に適性露出になる様にシャッタースピードや絞りを調整して撮影するのは共通します。

 色々試した中では、銀一シルクグレーカードVer.2を、被写体と同じ場所で、同じ様に撮影するのが、最も安定していました。

 撮影モードはマニュアル。
 ISO感度と絞り値は撮影時と同じ。
 ホワイトバランスはオート。
 露出はシャッタースピードで露出計が適正値になる様に調整しています。

 白っぽい面は薄いグレーで、ホワイトバランス設定用の参照画像の撮影にはこちらの方が向いているとされています。

 色が薄い方が適正露出ではシャッタースピードを速くできたり、ISO感度を下げたりできるので、そう言った面で有利なのかも知れません。

 こちらの面だと白っぽい面よりも、被写体の撮影により近い設定で撮影できます。

 グレーカードの薄い方、濃い方、どちを使った方が良い結果になるかはその時々で違うと思うので、両方の面で撮影してみて自分にとって良い結果の方を使うしかないと思います。

 ホワイトバランス参照画像を撮影する場合、被写体と出来るだけ同じ様に撮影する必要があるので、フィギュアを撮影する場合は、グレーカードは立て掛けて撮影しています。

 EOS Kiss X10iとEF-S 17-55mm F2.8 IS USMの組み合わせで撮影したホワイトバランス設定用参照画像と、それで設定したマニュアルホワイトバランスで撮影した、ねんどろいど水銀燈。

 撮影時の設定はISO 1600、F7.1でホワイトバランス設定用参照画像は1/30秒、ねんどろいど水銀燈は1/40秒

 ホワイトバランス参照画像の安定性はカメラの描写性能とはあまり関係ないらしく、今まで自分が使った中では最も高画質だと感じたEOS Rでも雑にホワイトバランス参照画像を撮影するとEOS Kiss X10i同様にホワイトバランスは安定せず、ホワイトバランス設定用の参照画像は丁寧に撮影する必要がありました。

 EOS Kiss X3の様に古いエントリーモデルでも、 ホワイトバランス設定用の参照画像を丁寧に撮影すれば、マニュアルホワイトバランスの色味は安定します。

 上の写真はEOS Kiss X3とEF-S 17-55mm F2.8 IS USMです。
 EOS Kiss X10iと同じ様にホワイトバランス参照画像を取得し、設定しました。
 撮影時の設定はISO1600、f7.1、1/40秒、WBマニュアルです。

 DPP上でRAW撮影データに対して、任意の写真のマニュアルホワイトバランスやオートホワイトバランスを他の複数の写真に適用出来れば、撮影の手間が大幅に省けると思うのですが、EOS Kissシリーズだけでなく、EOS 5D Mark Ⅳ、EOS 6D、EOS Rと言った上位モデルでもその様な機能は無い様でした。
 EOS 1DXシリーズやEOS R3だと違うのかも知れません。

まとめ

 デジタル画像の場合、表示する機器によって発色が大きく異なります。
 同じディスプレイでも設置する場所の照明で色の見え方が変わります。
 デジタル画像では表示する機器での差があまりにも大きいので、異なる被写体ではあればレンズの違いによるホワイトバランスや色味が違っても、ほとんどの場合では問題にならないと思います。

 同じ被写体を異なる画角で撮影する場合だと色味の違いが問題になる場合があるので、マニュアルホワイトバランスや、ホワイトバランスが固定されるホワイトバランスモードを活用すると良いでしょう。

 マニュアルホワイトバランス使用時に、同じ被写体を異なるレンズで撮影した時に、レンズ毎に発色が違って気になる場合は、少し手間を掛けて、レンズ毎にマニュアルホワイトバランス参照画像を撮影して、レンズ毎にホワイトバランスを設定すると良いでしょう。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です