ASRock Z690 Steel Legend /D4

 どうもNimbusです。

 ここ最近は、モデリングに使うパソコンを作る為に、現行製品を中心にパーツを集めています。

 新しくパソコンを作ろうと思った理由は、ZBrushのデータの保存や読み出しの時間を短くしたいからです。
 Quick Saveと呼ばれる一定時間が経過すると自動的に行われる自動保存機能はとても便利なのですが、データを保存している間は強制的に作業が止まり、作業に集中していた時に唐突に来る待ち時間は相当なストレスなので、データ保存の時間は可能な限り短い方が良いのです。

 Core i9 9900Kパソコンを導入した際には、ASRock Z390M Pro4マザーボードに対応したPCIe Gen3 x4 M.2 MVNe SSDの採用により、従来のSATAのSSDよりZBrushのデータ保存や読み出しが大幅に高速化しました。
 現在のM.2 NVMe SSDはPCIe 3.0(Gen3 x4)からPCIe 4.0(Gen4 x4)へと進化して、M.2 NVMe SSDへの読み書きの規格上の最大値が4,000MB/sから8,000MB/sと倍化しています。

 M.2 NVMe SSDだけ新しい規格に対応した読み書きの早い物を用意しても、マザーボードが新しい規格に対応していないと、読み書きは高速化出来ないので、最新規格の M.2 NVMe SSD に対応させる為には、CPUとマザーボードを両方交換する必要があります。

 CPUをCore i9 9900Kから変更するなら、処理能力も体感できる程の違いが欲しいので、CPUはCore iシリーズ第13世代で出来るだけ処理能力の高い物から選ぶ事にしました。

Intel 第13世代 Core i7 13700K

 CPUはCore i7 13700Kを選びました。
 選定理由は空冷で使える事と、価格です。
 LGA1700ソケットに対応したintel第13世代 Core iシリーズの中では、中間よりも上のアッパーミドルクラスに当る製品だと思います。

 LGA 1700ソケットに対応したIntel第13世代Core iシリーズでは最上位のCore i9 13900KSは、6Ghzを超えて動作するロマンはありますが、発熱がとても大きいので、水冷でなければ性能を発揮するのは難しいとされています。
 Core i9 13900Kとの性能差は僅かで、価格は2023年3月時点で10万円を超えます。

 Core i9 13900Kは中古で7万円以上、新品だと8~9万円くらいでした。
 Core i9 9900Kを6万円程度で入手したので、それを規準に考えると、Core i 13900Kはかなり高く感じます。
 Core i9 13900Kは上位製品の13900KS同様、発熱がとても大きいので、空冷で性能を発揮させる事は出来なくはない物の、条件が揃わないと難しい様です。

 Core i7 13700KはCore i9 12900Kよりも性能が良く、安い店だと6万円以下だったので、私がCore i9 9900Kを購入した時の価格よりも安く買えました。

 Core i7 13700KとCore i9 13900Kとの価格差は2万円程度ですが、空冷で使用する限りでは実用で体格出来る性能差が出る事は無い様です。
 Core i7 13700Kの発熱も今までのCPUと比べると大きい物の、Core i9 13900Kと比べると発熱は小さいので、大型のCPUクーラーであれば空冷でも性能を発揮できる様です。

ASRock Z690 Steel legend

 第13世代 Core iシリーズのCPUを利用するには、インテル600シリーズや700シリーズのチップセットとLGA1700ソケットに対応したマザーボードが必要になります。

 LGA 1700ソケット第13世代Core iシリーズとDDR4に対応する、Z690チップセットを搭載したマザーボードを捜していた所、ASRock Z690 Steel Legend/ D4の中古品が安く手に入りました。

  Z690 Settl Legend /D4は現行製品ではあるのですが、700シリーズに対しては1世代前の製品なので、機能的にはASRock Z790 PRO RS/ D4ASRock Z790 PG Lightning/ D4の中間。同じ世代でZ690 Steel Legend /D4と比較すると、Z690 RS Pro /D4は機能や性能そのままに質素にした廉価版。Z690 PG Lightingは機能や性能を削った更なる廉価版と言った感じです。

  Z690 Settl Legend /D4の製品のグレードはZ790 Pro RS /D4より上なので、良い部品が使われています。

 Z690 Steel Legend /D4の新品実売価格はZ790 PG Lightningとそんなに変わらないか、安い場合もあるので、2022年3月現在ではお薦めの製品です。
 Z690 Pro RS /D4は新品実売価格がZ690 Steel Legend /D4よりも5,000円程安いので、安くて高機能、高性能を狙うなこちらがお勧めです。

 Z790から選ぶのであればASRock Z790 PRO RS/ D4をお勧めします。

 電源はSuperMicroの900WのATX電源PWS-903-PQを用意しました。
 レトロ感が溢れる外観ですが80PLUS GOLDに対応した現行製品の様です。

 動作確認でのメモリーは、手持ちのDDR4 2666 4GBを2枚、合計8GB取り付けました。

 第13世代CPUはDDR4とDDR5メモリーに対応します。

 以前は2種類の規格のメモリーに対応したマザーボードも存在したのですが、DDR5とDD4のどちらの規格のメモリーにも対応したマザーボードを作る事は技術的には可能な様ですが、両対応だと割高になったり、2スロットづつししか配置出来ないと言った制約が生じたりとデメリットが多く、製品化しても十分な需要が見込めないので、製品化されていない様です。

 DDR5メモリーは比較的新しい規格で価格がまだ高いのと、DDR4メモリーと実用面での差が小さいので、DDR4メモリーに対応したマザーボードを使う事にしました。

 Core i7 13700Kに対応するDDR4メモリーは3200ですが、Core i9 9900KやCoer i7 8700K、Core i3 8350Kで使っているDDR4 2666を使っても、若干性能が低下する様ですが、問題無く実用できます。

 DDR5には価格以外でも難点があり、

 4枚刺しだと定格が遅くなる。

 メモリーモジュールが複雑化している為相性問題が以前に比べて激しく、メモリー同士の相性によっては故障まで引き起こす可能性がある。

 4枚で動作させたいなら4枚組で買わないとならないが、4枚組は中々販売されていなくてあっても割高。

と言う具合にDDR5は中々厄介みたいですね。

CPUとマザーボードとの関係

 第13世代Core iシリーズは消費電力が大きく、CPUに供給できる電力はマザーボードの性能によって異なるので、処理能力が高い分消費電力の大きいCPUを使う場合、それに対応したマザーボードを用意しないと、CPUは動作するものの本来の性能を発揮できない様です。

 CPUが要求する電力を十分に供給できないマザーボードを使った場合、Windowsを使ったりはできるものの、マザーボードの性能上の制約から、CPUの処理能力が制限されてしまうそうです。

 具体的には、比較的安価なB760M-HDV/M.2 D4H610M-HVS/M.2 R2.0で13900Kや13700Kと言った高性能なCPUを取り付けて使用する事はできるものの、安価なCPUを搭載した時と変わらない性能しか得られない場合がある様です。

 以前であれば、新品が数千円で買える安価なマザーボードでもCPUの性能が制限される事はありませんでした。なので、目的を絞った安価で高性能なパソコンを作る事も出来たのですが、それは過去の事となった様です。

 現在のIntel CPUで性能を発揮するには、適合したマザーボードを使わないとなりません。
 第12世代や第13世代Core iシリーズCPUを使う場合、Z690やZ790チップセットを搭載したマザーボードであれば、どれを買っても、致命的な問題が出る事はまずないでしょう。

 Z790やZ690以外の、H770やB760、H670、B660、H610と言ったチップセットを搭載したマザーボードは安価な反面、様々な機能制限や制約があります。制限や制約を十分理解した上で、用途や条件に合わせて選定すれば、安上がりにする事も出来ます。

BIOSフラッシュバック機能によるBIOS更新

 Z690 Steel Legend /D4で第13世代 Core iシリーズを使用するには、BIOSのバージョンが9.03以上でなければなりません。
 8.01以前のBIOSだと第13世代Core iシリーズを取り付けても起動できません。
 現在店頭に新品で並んでいる600シリーズチップセットを採用したマザーボードではそのままでも第13世代Core iシリーズに対応している筈ですが、店頭在庫品や中古品で古いBIOSが書き込まれた製品だと、第13世代 Core iシリーズが使えません。その場合はBIOSを新しい物に書き換える必要があります。

 以前のBIOS更新はBIOS画面やWindowsから行う物が主流だったので、古いBIOSに対応したCPU用意する必要がありました。
 最近のマザーボードでは、CPUやメモリを取り付ける事無く、USBメモリーに書き込んだBIOSをマザーボードに書き込む機能持つ物があります。
 Z690 Steel LegendもBIOS フラッシュバックと呼ばれる機能により、CPUやメモリなしでUSBメモリーに記録したBIOSイメージをマザーボードに書き込み、BIOSアップデートする事が出来ます。

 BIOS フラッシュバック機能のマニュアルでは、下記の様に指示されています。

1 BIOSのイメージファイルの入った圧縮ファイルをダウンロード。

2 ダウンロードしたBIOSのイメージファイルの入ったファイルを解凍後、BIOSイメージファイルのファイル名を「create.rom」に変更後、USBメモリのルートディレクトリー(フォルダー等に入れず)にコピー。

4 ATX 24ピンコネクターとBIOSのイメージファイルの入ったUSBメモリをZ690 Steel Legend /D4に接続。

5 ATX電源のコンセントを刺して、ATX電源にスイッチがあるなら入れて、ATX電源からZ690 Steel Legend /D4に通電させる。

6 BIOS FLASHボタンを3秒押すとUSBメモリーに入ったスイッチ付近のLEDが点滅して、BIOS更新が始まる。

7 BIOS更新が正常に終了すればスイッチ付近のLEDが消灯する。

 手順に従いKIOXIAの32GB USBメモリーのルートディレクトリーにBIOSイメージファイルを書き込み、通り行ったのですが、何度やってもLEDが点灯し続けるエラー状態になるりました。
 BIOS更新の手順を繰り返していたら、USBメモリーが動作している様子が無いのに気付きました。

 USBメモリー試しに強く押し込んだら、更に深く入りました。その状態でBIOS FLASHのスイッチを3秒押したら、USBメモリの読み込みが始まり、数分後にLEDランプが消灯してBIOS更新が完了しました。

CPU温度とTjMax

 Core i7 13700KをZ690 Steel Legend /D4に取り付けて、通電してみたらBIOS画面が表示されて、動作が確認出来ました。

  BIOS画面でCPU温度を確認したら100℃を超えていたので、あわてて電源を切りました。

 最近のCPUでは発熱から回路を守る為に性能を抑制して発熱を抑制する、サーマルスロットリング機能があるので、動作確認程度であればヒートシンクが無くても問題無いと考えていたのですが、ファンだけでは無力だった様す。

 Core i7 8700Kに使っていたCPUクーラーを乗せて再度通電してみたら、38℃に収まっていました。
 BIOS画面までの動作確認でもCPUクーラーは必要な様です。

 ASRockのZ690チップセットを採用したマザーボードでは、回路保護機能(サーマルスロットリング)が発動する温度の設定値、TjMaxが、出荷時の標準設定で115℃でした。

 Tjはジャンクション温度を意味し、半導体が設計上動作する温度の最高値だそうで、TjMaxはそこから転じた様です。
 Tjはユーザーが任意で設定できる値では無い様なのでややこしいですね。

 CP0Uの温度が115℃になっても動作はするものの、Intelが保証している温度は100℃なので、BIOS画面でTjMAXの値を100℃以下に設定する必要があります。

 自作パソコンは自己責任の世界ですし、上限設定でも簡単に壊れる物では無いとは思うのですが、出荷時で上限に設定されているのは珍しいですね。

 今回の記事は、Core i7 13700Kを取り付けたASRock Z690 Steel Legend /D4のBIOS起動確認までの紹介で終わりです。

まとめ

 空冷だとCore i9 13900K以上を使ってもCore i7 13700Kとは実用上の性能差は出ないらしい。

 性能の高いIntelのCPUを使うには、性能に応じたマザーボードが必要。

  H770やB760、H670、B660、H610と言ったチップセットを搭載したマザーボードは、Z690やZ790を搭載したマザーボードに比べて安価なものの、バードウエア上の制約や機能制限があるので、良く調べて買おう。

 最近のマザーボードにはCPUやメモリーが無くてもBIOS更新できる物がある。

 USBは奥までしっかり差し込もう。

 マザーボードの中には発熱から回路を保護する機能の働く温度(TjMax)が高く設定されている物があるので、BIOSまでの動作確認でもCPUクーラーを付けよう。

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