光造形機出力品の経年劣化

 光造形機に限らず3Dプリンターは元々は試作用途や鋳造の原型用途がメインターゲットで、出力品を長く保存する事はあまり考えられていない様に思えますが、私の使っているForm2の純正標準レジンは経年劣化が起こり難い様です。

 下の写真は2018年の夏のWF向けにForm2のグレーV3レジンで出力した、水着エレナの原型を2019年6月22日に撮影した物です。
 変形やひび割れ等は見られず、自分の基準では、原型として問題無く使えます。

 こちらは2016年の前半にForm1+で出力した、グレーV2レジンでの出力品です。写真撮影は2019年6月22日。
 こちらも割れ等は見受けられません。

 ロゥリィ・マーキュリーのハルバートは曲がっています。
 経年劣化で自然に曲がったのか、もう使わないからと適当に保存していて、色々なパーツの下に入っていたので、外力で曲がったのかは判断が付きません。

 試しに、レジンキャストキットのパーツ同様に、熱湯を掛けて修正を試みた所、修正出来ました。
 更に修正して、欠損を修繕すれば、原型としては十分使えます。

 外力で曲がったのであれば、保管が良ければ、修正は不要かもしれません。

 下は2015年の夏のWF向けに個人輸入で入手した、Maker Juice
から販売されているSF For The Form1/+ (Formlabs Form1とForm1+向け互換レジン)でForm1+で出力した物の写真です。
 写真撮影は2019年6月22日。
 こちらも全く問題はありません。
 Maker Juice SF For The Form1/+はFormlabsの純正レジンに比べると、リッター単価は3~4割程度安かったと記憶しています。

 2015年前半に入手したFormlabsのグレーレジンは、第一世代の物で、柔軟性がないので欠けやすく、切削性も良くありませんでした。
 今のグレーレジンとはかなり異なり、かなり透明寄りの半透明でした。

 一方、Maker Juice SF For The Form1/+は出力品質も良く、柔軟性もあり、切削性も良く、変に透けていないので積層跡や傷、凹みが見やすく、原型用途にはとても適していました。

 しかし2015年の後半に個人輸入したMaker Juice SF For The Form1/+から事情が変わりました。
 下の写真は2016年の冬のWF向けに作った神崎蘭子の原型を2019年6月22日に撮影した物です。
 2015年の後半に個人輸入したMaker Juice SF For The Form1/+で出力したForm1/+用レジンを使いForm1+で出力した物です。レジンキャストキットの原型として使っていた時点では特に問題無かったのですが、WFの3カ月後に確認したら、表面全体にひび割れが入っていて下の写真と変わらない状態でした。


 Maker Juiceのレジンの性質が変わって使い物にならなくなったので、Formlabsの純正レジンがV2から大きく改善されていると言うのを何かで見たり聞いたりしたので、国内の通販で売られているのを購入して試して見た所、V1レジンに比べて出力品質が向上していて、柔軟性もあり、切削性も良く、割れ辛く、レジンの透明度も低くなり、表面の状態が見やすく、初めの方に使っていたMaker Juiceのレジンと同じか、それよりも良い感じでした。
 下の写真は2016年4月にFormlabs グレーV2レジンを使いForm1+で出力した物を、出力直後に撮影した物です。

 下の写真は2017年4月に購入したForm2に付属していたグレーV3レジンで出力した物を出力した直後に撮影した物です。
 グレーV2レジンと比較すると、不透明になり、マットな質感にまりしまたが、柔軟性や切削性は更に向上していました。
 現行品のグレーV4レジンの配合はグレーV3レジンと同一との事です。V4になった理由は不明です。


 下の写真は、上の写真と同様に2017年4月に出力した物を2019年4月に撮影した物です。
 写真右は上の写真と同一の物です。
 2年経過していますが、目に見えた反りや歪み、ひび割れ等はありません。
 22mmレジンアイ向けシリコーン型を作る為の型なのですが、現在も問題無く使える状態です。

 Formlabs純正レジンの場合、最適化された設定がメーカー側で用意されているので、ユーザー側で試行錯誤する必要がなく、配合が変わっても大きく悪化する心配はありません。

 Formlabs製品は、以前であれば個人輸入くらいしか確実な入手方法が無かったのですが、現在では日本国内でも正規流通していて、グラスロードカンパニーだと注文した翌日に届くので、現状では互換レジンを使うメリットは無いと考えています。
 安く済まそうと、個人輸入で注文から届くまでに2~3週間かかり、出力テストを行い、数カ月経過観察をして、その結果使い物にらないなら丸損ですし、手間とリスクを勘案すると、リッター単価が幾ら安くても割に合いそうにありません。

 Formlabsの純正レジンをKudo3D Titan1で試した人も居ましたが、粘度が高いので、色々面倒だったみたいです。
 Formlabsのレジンは個人的には品質が安定していて良いレジンだとは思うのですが、普及価格帯の光造形機向けレジンとしては割高なので、積極的に、他社の光造形機で試そうとする人はあまりいないみたいですね。