エドワーズ 油回転真空ポンプ RV12

 10月下旬に、エドワーズ油回転真空ポンプRV12(以下 RV12)の中古品を購入しました。

 「真空脱泡機を自作しました」で紹介した真空ポンプです。

 今まで真空脱泡機に使っていた真空ポンプは、タスコのTA150RCと、

タスコのエアコン用真空ポンプとしては最大排気量のTA150XXの2機種です。

 TA150RCは現行品ですが、TA150XXは2020年現在では廃版品となっている様です。

 タコスの真空ポンプは2機種とも、入手性の良い、エアコンの取付に使われる真空ポンプでしたが、RV12は真空脱泡機にも使われる汎用機です。

  RV12はエアコン用のコンプレッサーの様に持ち運ぶ物ではなく、据え置きで使われる物なせいか、家庭用電源で使える仕様の物でも、ヤフオクやメルカリ、ネット通販と言った、個人が手軽に利用できる方法では、中古品の取り扱いは有りませんでした。
 業務用真空ポンプの中古品を扱う専門業者に問い合わせてみたら、家庭用100V電源で使える仕様の物で外観の程度が極めて良い個体を、手頃な価格(TA150RCの新品よりは安い)で購入する事が出来ました。
 RV12の中古品は品薄と言う訳ではないみたいで、流通する場所が違うだけの様です。

 家庭用電源で使えるRV12は新品では安い所でも20万円以上するものの、ネット通販でも扱っています。
 RV12は、電源が家庭用電源とは異なる、三相200Vで動作する物もあるので、中古品を購入する際には注意しましょう。


 購入した中古業者に、自作の真空脱泡機に使う事を伝えた所、「十分な予算があるならスクロールポンプが最適」との事でした。
 油回転真空ポンプの様に排気に油分が含まれないので、オイルフィルターを必要とせず、整備性も良いので、油回転真空ポンプからスクロールドライポンプへの置き換えが進んでいる様です。
 ただ、こちらは新品だとネット通販では70万円以上する物なので、中古品であっても模型用の真空脱泡機に使うには高価過ぎました。


 RV12の重量はおおよそ30kgなので、今までの真空脱泡機に使っていた折り畳みテーブルではとても耐えられません。
 RV12の購入に伴い、机を60kgまでの重量に耐えられる山善のシンプルデスクに買い替えました。

 RV12の継手はNW25やKF25と呼ばれる規格です。
エアツールや真空ポンプの継手の様に、ネジではなく、専用のクランプを使って固定する方式なので、着脱が簡単なのと、内径が大きいのが特徴です。
 写真の上は、左からNW25のクランプ用センターリング、3/8PTオスと1/4PTオスの12mmチューブ対応の継手部品です。下はNW25用クランプです。
 内径の太さの違いが確認出来ます。

 異物の混入を防ぐメッシュ付きのセンターリングもあります。

 NW規格自体は良い事づくめなのですが、クランプを除き、部品の入手性が非常に悪いと言う欠点があります。
 国内の通販サイトでは、扱っていても価格が高く、在庫もしてない事が多く、注文から届くまでの日数が掛かる様だったので、ebayやAliExpressを通じて、中国の業者から購入しました。

 NW25のエルボを購入する時に、同じ販売者の販売するNW25用クランプも安かったのでebayで注文したらNW16用の物が届きました。

 NW25のエルボと一緒に注文して同時に発送されたのに何故?
 クランプは国内のネット通販で購入してもそんなに高い物ではないので、そちらで購入し、誤発送されたクランプの代金は返金して貰いました。

 NW25エルボと、RV12に付属していたエドワーズ純正のフォアライントラップは、どちらも取り付けた時にもう一方の継手の高さが同じになるので、NWの部品は細かい所まで規格化されているのだと思います。


 油回転真空ポンプは排気に油分が含まれます。

 真空ポンプに使うオイルは有害ではなく、エアコンの取付でに使う場合は屋外や、屋内であっても屋外同様に風通しの良い場所で、短時間の使用なので、排気中の油分は無視できるのだと思います。

 室内で繰り返し使う真空脱泡機の場合、排気中の油分は大きな問題となります。

 RV12はクリーンな環境で使う事も考慮されているので、純正オプションでオイルフィルターが用意されています。
 純正のオイルフィルターは消耗品を含めてネット通販で購入できるものの、サイズが大きいので、TA150XXで使っていたAFF2C-02とAME250Cを組み合わせた、オイルフィルターを転用しました。


 オイルフィルターに繋いだホースは屋外に出しています。
 ホースの先には、排気の向きを固定する為に、アマゾンで購入したユニバーサルケースに繋いでいます。

 ユニバーサルケースの中にはスチールウールを入れています。これはオイルフィルターのエレメントが寿命を迎えた時に気付かず、オイルフィルターからオイルの漏出した際に、漏出を防ぐ為です。
 このスチールウール入りユニバーサルボックスは消音効果も高く、ホースのままだと、真空ポンプが動作する際には、そこそこの排気音がするのですが、スチールウールを入れたユニバーサルボックスを取り付けている時には、排気しているが分からない程静かになります。

 真空ポンプはコンプレッサーと同様の構造なので、排気量が多いと空気中の水分も問題になります。
 真空槽を大気開放した時には、中古購入したSMCのメンブレンドライヤーで乾燥させた空気を送り込んでいます。
 メンブレンエアドライヤーの手前には、トラスコのフィルターを取り付けて、メンブレンドライヤーに異物が入らない様にしています。

 RV12は購入前に十分な動作確認を行い、購入当日に自室での短時間の動作確認も行っていましたが、本格的な自室での動作確認は、オイルフィルターが接続できるNW25-1/4PTメスアダプターとNW25のクランプとセンターリングが揃った、11月中旬になりました。

 動作音はYoutubeに投稿した動画では確認し辛いかも知れませんが、TA150XXよりは静かなものの、それなりの動作音はするので、住環境によっては夜間には使えないかも知れません。
 TA150XXの様に、テレビの音が完全に掻き消える程では無いので、使用時の快適性は増しました

 排気速度関しては、数値上の性能はTA150XXと大差なかったのですが、実際に使うと、RV12の方が明らかに排気速度が上でした。
 これは継手部分のNW25の内径が太い事も少なからず関係していると思います。
 エアコン用の真空ポンプは、吸引口が細い為、排気速度は落ちてしまうのだと思います。同様の理由で、エアツール用のカプラージョイントも排気速度を低下させる要因になる様です。

 電源投入時にオイルが冷えていると、始動性が悪くなるのは、タスコの真空ポンプも、RV12も同じでしたが、タスコの真空ポンプは電源投入時に回らない場合、一旦電源を切ってから再投入する必要がありますが、RV12は自動的に始動を繰り返したり、低回転で暫く回ったりします。これは価格帯による機能の違いなのでしょう。

 価格面や入手性を考えると、エアコン用の真空ポンプをエアツール用の継手で使うのは、模型用の真空脱泡機としては最適ですが、可能な限り減圧時間を短縮したいと言った具合に、性能を求めるのであれば、NW25に対応した真空ポンプが良い様です。

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