Form3とForm3Lが発表

 Formlabsから新型機のForm3とForm3Lが発表されました。

 Form3Lはサイズ的にも価格的にも、個人所有は不可能では無いですが、出力品の洗浄を考慮すると、工場での業務用だと思われます。

 Form2の後継機となるForm3の価格はForm2発表時と同じなので、新規に購入する場合はこちらを選ぶのだと思います。

Form3 とForm3Lの発売時期と価格は?

 Form3の発売はアメリなどは6月を、日本国内での販売は今年の後半が予定されています。
 Form3Lは年末の発売を予定されているものの、具体的なスケジュールは決まっていない様です。
 現実的に考えると、日本国内で導入したり、個人で入手できる様になるのは、来年からだと思います。

 From3の価格はForm2の発売当初と同じ3,499ドルなので、それに倣うなら日本国内での販売価格は60万円前後になるかと思います。
 Form3Lは9,999ドルなので、国内だと150~200万円程度になりそうです。

Form3はForm2からどう変わったか?

 Formlabsのサイトでは比較一覧が公表されているので、一部を抜粋します。

 Form3のビルドプラットフォームはForm2と同じ物なので、水平方向の出力サイズはForm2と同じで、高さが1cm高くなりました。
 高さ方向に目いっぱい使う事はそう多くは無いですが、自由度は高まると思います。

 ビルドエリアの高さが拡大たのに伴い本体の高さが1cm、幅が6cm大型化しています。一方で、カバーを開けた時の高さは1cm低くなり、奥行きはForm2と同じなので、幅に6cm余裕があれば今までForm2を使っていた場所にそのまま設置する事が可能です。

 Form2ではワイパー動作で寄せられるレジンが溢れないか、かなり心配で、実際に溢れてしまうケースもあった様です。Form3ではレジンタンクはレジンが溢れない様な形状になっています。ただ、ワイパーが見当たらないので、攪拌をど言う方法で行うのか、或いは攪拌しないのか、現在の所は良く分かりません。
 自分のForm2では幸いにもレジンが溢れ漏れた事はないのですが、Form2のレジンタンクでもForm3同様の工夫が欲しい所です。

 レジンカートリッジはForm2、Form3、Form3L共に共通の様です。
 Form3やForm3Lと同時に発表されたドラフトレジンも、Form2で使用可能です。

 最大の変更はレーザーの照射方式と、剥離方式だと思います。
 今迄はレーザーを前後左右に傾けるガルバノミラーで照射していましたが、この方法は場所によってレーザー光の入射角が変化するので、中央と周辺ではレーザーが描く形と、単位面積当たりのエネルギー量が微妙に変化してしまい、ソフト的に照射時間や軌道を調整しても、限界がありました。
 今回の新型2機種は、前後にレーザー光が移動するガルバノミラーと、ステッピングモーターによる露光ユニットの左右移動の組み合わせで、レーザーが垂直に照射される様に改良されました。
 レーザーのスポットの最小値も小さくなったので、Form2より精細な出力が可能になると予想されます。

 Form2では引き上げと同時に、レジンタンクが横にスライドする事で行っていた剥離が、今回からはレーザーを照射する部分だけヘッドに押されて出力品の底に密着して、ヘッドが移動すると張力で剥離される方式になりました。
 レイヤーを硬化させせればすぐに引き上げが行えるので、出力速度の向上が見込めます。
 これが出力品の品質のどのように影響を与えるかは今の所未知数ですが、Form1+よりもForm2の方が積層跡やサポート部分の変形が目立たなくなっていたので、同様に、より改善されている事を期待たいと思います。

 Form2ではレジンタンクを加熱する事でレジンの温度を一定に保っていましたが、Form3やForm3Lではチャンバー内全体を温める方式に改められている様です。
 そのせいか、消費電力も大きくなっています。

Form3は買いか?

 Formlabs製品は、家庭用としては非常に高額なものの、それに見合った機能や使い勝手を実現していると思います。
 Formlabsはレジンと出力に必要なソフトウエアを一貫して自社開発して供給しているので、機械的な不具合が無く、消耗品の交換を行っていれば、ユーザーが試行錯誤しなくても一定以上の品質で出力品が得られます。
 これは数万円で販売されている低価格帯の機種に無い特徴です。

 レジンタンク以外の消耗品がForm2とForm3で共用できるので、Form2の既存ユーザーがForm3を買い増ししても問題無さそうですし、Form3の価格はForm2が登場した当初と同じ金額なので、Form2はForm3の発表の翌日から税込み50,7384円になっていますが、さらなる大幅な値下げが無い限り、十分な予算のある新規ユーザーなら悩む事は無さそうです。

 水平方向の高精細化はスケールモデル等には有利に働く気はするのですが、フィギュア用途だとあまり差が出なさそうなのと、後加工の重要性は変わらないと思うので、美術用途での既存ユーザーは、無理して急いで買い替える程の変更では無いかも知れません。
 Form2の時にはForm1の様にマイナーチェンジはなかったので、Form3も同様に、十分なテストを行い、信頼性を確保した上で発売されると思うのですが、 メカニズムが複雑化しているので、実際に製品が発売されてユーザーが使い、信頼性が確立するまでには、多少時間が掛かる様に思うので、今年の後半や、来年までまで待てないなら、価格の下がったForm2をすくに購入するのもアリだと思います。

 Formlabsの製品は、以前は日本国内からでもFormlabsの直販で購入する事が可能でしたが、現在は国内代理店を通じての購入しか行えません。
 消耗品は良いとしても、本体に関しては、不具合が出た場合、Formlabsのサポートと直接やりとりした方が手っ取り早く、これにメリット感じて直販を利用していたので、少々面倒です。

 Form3、Form3L共に、日本国内で購入が可能になるまでには時間があるので、続報を待ちたいと思います。

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