FDM方式3Dプリンターに対する光造形機の優位性
今までに使った3Dプリンターで紹介している様に、元々は熱溶解積層(FDM)方式の3Dプリンターを使っていましたが、色々難点があって、現在は光造形機のForm2を使っています。
以前私が使っていた安いFDM方式の3Dプリンターのデメリットを挙げるとこんな感じです。
光造形機よりも出力品質が劣るのに出力時間が長い。
積層から割れ易い。
最初の一層目を定着させる為の機械的な調整が結構面倒。工具もそれなりに必要。
最初の一層目が上手く定着しても、出力後半にホットベッドから出力品が剥離してしまう場合がある。
木工などに使う電動工具程ではないものの動作音が大きい。
使用する雰囲気温が出力品質に影響するので、3Dプリンターを置いている場所の温度管理が必須。
フィラメントを加熱する為、出力中は常時ガスが出るので出力中には換気が必要。
換気しつつ雰囲気温度を管理するとなると、光熱費がとても掛かる。
フィラメントを200度くらいで加熱するので、火災のリスクがある。
可燃物の多い造形環境では火災のリスクが更に高くなる。
と言った所でしょうか。
このうち、常時換気は使用するフィラメントによっては不要かも知れませんし、火災のリスクも現在主流の、出力部分が覆える機種では無縁なのかも知れません。
私が使用していた安い3Dプリンターの場合だと、常時換気しつつ温度管理が出来、可燃物が少なく、万が一の火災の際にはスプリンクラーで対応出来る場所での運用が理想的だったので、一般家庭で使うにはハードルが高く、火災が不安で、就寝や外出中の出力は、自分には出来ませんでした。
フィラメントは1kg2,500円くらいだったので、安価では有ったのですが、デメリットがそれを上回る感じで、気軽さは有りませんでした。
光造形機のForm2の場合、
出力品質は個人が一般家庭で使える機材では最高レベル。
出力時間は短くはないが、FDM方式の最高品質に比べると短い。
レジンは多少臭いがするものの、揮発成分が含まれないので換気は不要とされていて、出力中はカバーで臭いが全くしない。
IPAやエタノールで出力品を洗浄して、乾燥させている時にだけ換気すれば良いので、雰囲気温度の管理が比較的容易。
ヒーターにより温度管理が自動的行われる。
低出力レーザーとモーター、35度設定のヒーターの組み合わせなので火災のリスクはパソコンや情報家電と同等。
動作音が割と静か。
購入してから2年半を過ぎた現在まで機械的な調整は一度も行ったことが無い。
出力の失敗がほぼ無い。
と言った所で、Form2の場合はこれに加えて、専用ソフトが優秀なので、ちょっとした部品であれば、モデリングが終ってから、出力開始まで、数分で出来るのも利点です。
デメリットは
本体価格や消耗品が高価で、出力品の体積当たりのコストも高い。
換気出来る場所で、イソプロピルアルコールやエタノールやエタノールによる出力物の洗浄と乾燥を行う必要がある。
紫外線ランプでの二次硬化が必要。
と言った所でしょうか。
ただ、業務用の光造形機に比べると安価で、出力品質や出力に必要な時間を考えるとFDM方式との体積当たりのコスト差は、自分は十分容認出来る範囲でした。
出力に伴う具体的な金額は、自分の製作ペースだと、年間に2Lくらいのレジンを使い4~6体分のパーツを出力します。
出力に掛かる年間の消耗品代は、レジンタンクや洗浄用のIPA等を含めても、6万円程度です。
これが高いと感じるかどうかは人によるとは思いますが、業務用機を用いた出力サービスに出すと、一体あたり12~25万円程度の出力費用が掛かるので 、それと比較すると維持費は安く、導入費用は1年でペイ出来た感じです。
業務用機による出力代行費用は、デジタル造形に興味を持った2013年当時での金額を基準にしているので、普及が進んで出力代行業者も増えた2019年9月現在はどの程度の金額なのかは良く分かりません。